わたしの世代だとピンとこないかもしれませんが
“渡る世間は鬼ばかり”をご覧になっていた世代の方だと
岡倉家の長女・弥生の義母ハナさんを演じていた
杉山とく子さんってご存知だと思います。
(その他の作品にもたくさん出ている女優さんです。)
ひょんなことから、
杉山さんが生前
60代の頃から老人ホームに入居されていて
そこから仕事場へ向かっていたことを知り興味を持ちました。
調べるとインタビュー本が一冊ありましたので
早速図書館で借りてきました。
一人の潔さ
わたしと同じく、ご結婚をされておらずお子さんもいらっしゃらないですが
わたしと違ってご兄弟や甥っ子さんそのお子さんたちはいる。
ですが、『自分は“独り者”だから。』と
自分の最後の住処を老人ホームに決めたことに感銘を受け
「やっと見つけた天涯孤独の先輩のお話!」と
気持ちが明るくなりました。
実際に、今77歳のお友達はおひとり様で
生前整理の話をすると弾むのですが
彼女には甥っ子さんがいて
その甥っ子さんに後始末をお願いされているので
わたしにはお手本にならないのです。
ずっと、「どこかにわたしのお手本になる人は?」と探す日々を送っていますので
参考にさせていただきました。
腹六分目どころかあっさりし過ぎな人間関係
- 出演者ともなーなーの関係になりたくないので現場だけのお付き合いだったり
- 同期生の山岡久乃さんとも仲間だけど一緒に食事もとったことがないそうです。
人のことを言って、本人の耳に入ったときも
「あなた、わたしのことこんな風に言ったんだって?」と詰め寄られると
「はい、言いました。」とお認めになるとか。
なんとまぁ、頼もしい方です。
腹六分の人間関係を目標にしているわたしでも
「そこまで割り切るの?」と目からうろこが落ちる程のあっさりした人間関係で
「あ~、そこまで他人の顔色伺って生きなくてもいいな。」と思える一冊でした。
身辺整理
杉山さんがお若い頃に住んでいたご近所に
かわいい綺麗なお婆さんがいらして
その方が自然死なさったとき、
寝ていた枕元に柳行李(竹で編んだ衣装などを入れる入れ物)だけが
たったひっつ置いてあり
あとは何もなかったということを聞いてから
「すごい人生の納め方をする方がいらっしゃるんだなぁ。
あの小さくてきれいなお婆さんだったら、うあずけるなぁ」と感動されたそうでうす。
そこからはご自身のお葬式のことも老人ホームの所長さんと相談されたりしていたみたいで、
「スーッと消えたい。」とおっしゃっていた通り
2014年に亡くなられたあとも
何も詳細はあがっていませんでした。
死に方は生き方を表すとよく聞きますが
わたしもこれくらい潔くなりたいものです。
杉山さんのご本を読んで強く思ったのが
「好きなものを持っている人は強い!」ということ。
芝居があった杉山さんは非常に強い。
わたしにはそういう打ち込むものがないから
ここまでは無理かも…と思いかけましたが
いやいや、できないことはない!
わたしは打ち込むものがないけど強く生きた一例になれば済む話だと自分を鼓舞して締めくくりました。